PC−9821のハードディスク環境の問題点 戻る |
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UIDE-98M |
ここでは、PC−9821に対するストレージデバイスのパワーアップに関して解説します。
PC−9821シリーズの弱点として、内蔵IDEインタフェースの遅さが絶えず指摘されます。
また、ハードディスクの記憶容量が最大4.3GBに制限されていることは、致命的といえます。
最近のIBM PC/AT互換機では、UltraATA/133と呼ばれるIDEインタフェースが一般的で、最大133MB/Sの転送能力を持っているのに対して、PC−9821では、PIOモード2あるいは3でしか動作しません。
これでは8.3MB/Sあるいは11.2MB/Sしか転送能力がないので、UltraATA/133と比べると、10分の1以下しかないことになります。
しかもPIO転送は、CPUパワーを使うのでマシン全体のパフォーマンスに悪影響を与えます。
さらに困るのは、記憶容量の制限の問題です。最近では200GBにも迫ろうかという大容量のハードディスクが登場してきているのに、PC−9821は4.3GBまでのハードディスクしか認識できないものが多く、後期型でも8.4GBまでしか認識できないという状態です。このような小容量のハードディスクは入手自体が困難な上に、仮にあったとしてもそもそも動作するかどうかもやってみないとわからないという状態です。
PC−9821に搭載されている内蔵IDEインタフェースは、本来のIDEインタフェースとは違う互換インタフェースなので、このような問題も起こるようです。そもそもNECは、専用インタフェースと呼んでいて、IDEとは言っていません。
もっとも、モデルによっては最初からSCSIインタフェースを搭載しているものもあり、これらに関しては上記のような問題はあまり関係がありません。
ここでは、主にSCSIインタフェースを搭載していない機種について考えてみましょう。
それらのマシンは、必ずPIO転送でしかハードディスクを動作させていないので、インタフェース、およびハードディスクの強化が必須と考えられるからです。
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PC−9821のハードディスクの容量制限について |
PC−9821は、基本的に4.3GBまでのハードディスクしか認識できません。 これは本来IDE−BIOSの問題ですから、後述するようにUIDE−66やSCSIなどのインタフェースを搭載すれば、本体側のIDE−BIOSを使わないので、容量制限はなくなります。 しかし、後期のマシンになると8.4GBまでのハードディスクを認識できるようになります。
実は、これらのマシンではそれ以上の容量のハードディスクも認識できるのですが、そのままでは8.4GB以上の領域に対してフォーマットができないのです。
あらかじめ、UIDE−66を搭載してフォーマットした8.4GB以上のハードディスクを搭載すれば、ちゃんと動作します。
PC−9821シリーズで8.4GBまで認識できる機種は、ここをクリックしてください。 |
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もう一つ、特別なインターフェースを使わずに大容量のハードディスクを接続する手段として、メルコから販売されている内蔵ハードディスク 「DBI−N20GT」シリーズを搭載する方法があります。これは、通常のIDEインタフェースに接続して20GBハードディスクを認識できるという製品です。 その秘密はADVANCED BIOSにあります。 これは、ソフトウェアにより、本体IDE BIOSに対してハードディスクの容量をごまかして、BIOSのチェックをくぐり抜けるという仕組みのもので、本体BIOS自体を書き換えるわけではありません。 ただし、インタフェース自体が高速化されるわけではないので、大幅なパフォーマンスアップとは行かないのがつらいところですが。 UIDE−66やSCSIなどのPCIスロットを占有するボードを搭載できない場合には、たいへん有効です。
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DBI−NGT |
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ハードディスクとインタフェースの強化について |
PC−9821をパワーアップするに当たって、避けられない問題の一つが、ストレージデバイスに関する点です。 体感的にも、ハードディスクの高速化はもっとも大きい効果を持ちます。 PC−9821の場合、IDEインタフェースがPIO転送しかサポートしていないので、これをパワーアップすることが前提となります。 ここで考えられる方法は、 @UltraATA化する。 ASCSI化する。 BSCSIとATAを共存させる。 などが考えられます。
@は、コスト面ではもっとも有利です。しかし、PCIスロットを1つ占有するのはやむを得ません。 また内蔵ハードディスク、内蔵CD−ROMドライブしか接続できないことと、ATA機器を最大で4台までしか接続できません。 つまり融通が利かないということになります。
Aは、コスト面では不利な選択です。 SCSIボードが必要な上に、SCSIハードディスクが高価です。 また記憶容量も大容量のものが入手しにくいということもあります。 しかし性能面では、ATAよりもCPU占有率が低い上に、各種SCSI対応機器が接続できて、ATAよりも融通が利きます。 Bは、SCSIインタフェースとATA機器を併用するというもので考え方としては2つあります。 SCSIインタフェースにATA機器を直接接続するということと、SCSI−ATA変換アダプタを使うという方法です。
これらの具体的な方法については下記をご覧ください。
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PC−9821をUltraATA化する |
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これはアイ・オーデータ機器から発売されているUltraATA/66インタフェースカードUIDE−66を利用すれば可能となります。 このボードは、PCIスロットを占有しますが、ほとんどのPC−9821で使用可能です。 これを搭載すれば、ハードディスクの容量制限もなくなり、32GBまでのIDEハードディスクが接続できます。 また、ほとんどのハードディスクが利用できるのでPC−9821対応とうたってないバルク品のハードディスクでも利用できるので、コスト面でもたいへん有利です。 実際に私が使っているハードディスクは、IBM DLTA703030,Maxtor 52049U4,Maxtor 5T020H2です。 いずれもDOS/V用パーツですが、PC−9821でも利用できます。 |
UIDE−66 |
UIDE−66 + 大容量ハードディスク の組み合わせを使えば、IBM PC/ATマシンと比べても遜色のないハードディスク性能を持つことができます。 PC−9821内蔵インタフェースと4.3GBハードディスクを搭載した場合の転送能力は、約3MB/S程度なのに対して、UIDE−66 + 20GBハードディスクを搭載した時の転送能力は、約20MB/Sにもなり、約7倍の転送能力を持ちます。 私としては、コストも考えてこの方法をもっともおすすめします。
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PC−9821をSCSI化する |
PC−9821をSCSI化するというのは、本来もっともオーソドックスな手法であり、現在でももっとも効果が高い方法です。 しかし高価になるので、実際には二の足を踏むのもやむを得ないでしょうか。 最近ではUltra2WideSCSIも容易に入手できるので、コストかまわずの方は大いにSCSI化に励むべきでしょう。 ただし、ハードディスク自体も高価な上に容量的にもATAに比べて不利なのは覚悟しないといけないでしょう。 しかし外付け機器も接続できるのと、接続可能な機器数も多いので、SCSIが有利な点も多いのです。 最近のSCSIインタフェースは、一般向けとしては次の種類のタイプが販売されています。 |
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SCSI規格 |
Ultra2WideSCSI |
UltraWideSCSI |
UltraSCSI |
SCSI−2 |
転送能力 |
80MB/S |
40MB/S |
20MB/S |
10MB/S |
コネクタピン数 |
68ピン |
68ピン |
50ピン |
50ピン |
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見ての通り、UltraWideSCSI以降ではコネクタのピン数が異なるので、注意が必要です。 しかし、SCSIボードには外付け機器用と複数の内蔵機器用のコネクタを持っているので、複数の規格のハードディスクを接続できますので、Ultra2WIDESCSIカードだから、Ultra2WIDESCSI対応機器しか接続できないというわけではありません。しかし、当然遅いほうの規格に合わせられますので、性能をフルに発揮するには、インタフェースと接続機器の規格が一致させた方がいいのは当然です。 また、初心者の方のために一応念を押しておくと、起動用ハードディスクをSCSIにするわけですから、必ずSCSI BIOSを搭載したインタフェースカードを選択してください。 また、Windowsのインストールの際、リカバリーCD−ROMは使えないと思ってください。 何らかの形で起動ディスクと、Windows98CD−ROMを用意しておかないといけません。
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Ultra2WideSCSIインタフェースカード |
SCSI内蔵ハードディスク |
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実際のSCSIインタフェースとSCSIハードディスクです。 SCSIインタフェースには、外付機器用にUltra2WideSCSI用68ピンコネクタと、内蔵機器用にUltra2WIDESCSI用68ピンコネクタとUltraWideSCSI用68ピンコネクタとUltraSCSI用50ピンコネクタがあります。 このクラスのSCSIインタフェースカードを用意できれば、いうことはありません。 内蔵ハードディスクは、高性能7200回転ハードディスクドライブAtrasV18WLSで、記憶容量が18GBのものですがSCSIハードディスクとしては大容量のものです。 しかし、いずれにしても高価なのでコストかまわずの方でないと・・・。 | |
PC−9821環境でSCSIとATAを共存させる |
SCSIとATAを同時に使いたい、あるいはインタフェースはSCSIでもハードディスクはIDEのものを使いたいというケースも考えられます。 もちろん、@Aは、同時に実現可能ではありますが、PCIスロットを2つ占有してしまうので、PC−9821環境では無理があります。 そこで考え方としては、2つあります。 @SCSIインタフェースとしてメルコのIFC−USP−M2を使う。 A通常のSCSIインタフェースにSCSI−IDE変換アダプタを使う。 |
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@メルコのIFC−USP−M2は、基本的にはUltraSCSIインタフェースカードですが、IDEインタフェースも装備していて、IDE機器を接続できるというインタフェースカードです。 接続できるIDE機器は、2台までです。これは、内部にSCSI−IDE変換機能(SDATテクノロジ)を持っていることで実現できるわけです。 このインタフェースカードを使えば、SCSI機器とIDE機器を同時に利用できます。 ただし、UIDE−66に比べるとUltraSCSIは、最大20MB/Sの転送能力しか持たないので、ハイスペックとはいえませんが、実用上は問題はないでしょう。 ただし、実際に使ってみるとやや癖があって、使いこなすのにはテクニックが必要です。 |
IFC−USP−M2 |
AUltraWideSCSIインタフェースカードを搭載している場合、ACARD TECNOLOGYのSCSI−IDE変換アダプタAEC−7720UWを接続すればIDEハードディスクをSCSIインタフェースに接続できます。 ただし、この場合ハードディスクしか接続できないのと、ハードディスク1台につき、1個の変換アダプタが必要です。 性能的には、@よりも有利ですがコスト的には不利です。 | |