PC−9821のグラフィック環境の問題点               戻る
PC−9821のグラフィック環境は、チップセットの関係もあり、AGP環境が存在しないので、必ずPCI接続となります。
しかも、オンボードで搭載されるグラフィックは、TridentCirrusLogicなどの性能の低いものが多く、Windows98環境では力不足です。
一部には、MistiqueMilleniumなどの比較的高性能のビデオチップを搭載している機種もありますが、それも2D環境ではまずまずの性能ではあるが、Direct3Dなどの3D環境には対応していません。
もっともビジネスアプリケーション相手であれば、MistiqueやMilleniumを搭載している機種であれば、そのままでも差し支えありません。
ただし、3D環境、たとえばゲームソフトを走らせるのであれば、ビデオ環境を強化する必要があります。
しかし、いずれにしても重いゲームソフトを走らせるには無理があると考えた方がいいでしょう。はっきり言って、過大な期待は禁物です。
ここでは、比較的軽いゲームおよびビジネスアプリを快適に走らせるということを目的にしたビデオ環境の強化を前提とします。
もしDirectX 7.0aに対応したある程度重い3Dゲームを対象とすると、MATE−RにCPUをPentiumVに強化したマシンが前提となりましょう。
いずれにしても、PC−9821マシンにビデオカードを搭載するとなると、必ずPCIビデオカードでなくてはなりません。
一部にはCバスビデオカードも存在しますが、パワーアップにはならないので除外します。
PC−9821にビデオカードを搭載する場合の注意事項
PC−9821は、IBM PC/ATマシンとは違い、Windows画面を表示するためのグラフィックチップとMS−DOS画面を表示するためのスタンダードディスプレイアダプタを持っています。
この場合、Windows画面を表示するためのグラフィックチップを搭載したPCIビデオカードをPCIスロットに装着して、ビデオカードから出ているコネクタと本体のRGB INを付属のケーブルで接続しなくてはなりません。
直接、ディスプレイとビデオカードを接続するとMS−DOS画面が見られないことになります。
また、一部にはビデオ専用カードに2つのチップを搭載している機種があって、”抜かないでください”とある場合があります。
RaU23、Xc16/M7、V200,V233などがそれに該当します。
基本的には、これらのカードは抜かないでください
PC−9821に搭載可能なビデオカード
現在、PC−9821対応をうたって販売されているPCIビデオカードは、2種類しかありません。
アイ・オーデータ機器から販売されているGA−S2K32/PCIGA−SV408/PCIです。
GA−S2K32/PCI GA−SV408/PCI これらのカードは、いずれもS3社が供給するビデオチップを搭載しています。
GA−S2K32/PCIは、SAVAGE2000を搭載して、ハードウェアT&Lにも対応しており、PC−9821対応ビデオカードとしては、最新世代のビデオチップです。
GA−SV408/PCIは、SAVEGE4Pro+を搭載したビデオカードですが、ビデオメモリが8MBのみです。
いずれも、デジタル液晶に対応した端子を持っていて、デジタル液晶ディスプレイを使用したい場合には、必須といえます。
GA−S2K32/PCI GA−SV408/PCI
現在、確実にPC−9821で動作して入手できるビデオカードは、この2種類だけという状態です。
私は、この2種類とも所持していて、いずれも安定した動作を確認していますので、この2種類のビデオカードに関しては安心して使えます。
ただし、すべてのPC−9821で動作するかどうかは、別問題です。
PCIスロットやRGB INを持っていないCanbeなどの一部のモデルでは対応機種に入っていません。
しかし、RGB INがなくてもMS−DOS画面をあきらめるなら直接ディスプレイに接続すれば、映るかもしれません。
後、少し前の製品としては、やはりアイ・オーデータ機器のGA−SV432/PCIがあります。
これもGA−SV408/PCIと同じくSavege4Pro+を搭載したビデオカードですが、ビデオメモリが32MBあるのがGA−SV408/PCIとの違いです。
これらのビデオカードであきたらない方は、中古でGA−VDB16/PCIを探すのも手ですが、ほとんど見かけません。
GA−VDB16/PCI このビデオカードは、3dfx社のビデオチップVoodooBansheeを搭載したビデオカードで、Glideに対応していることもあり、たいへんもてはやされたビデオカードです。
もっとも、現在の目から見ると最新の3Dゲームを動作させるには、世代が古いので実用的ではないでしょうが、古いゲームやビジネスアプリが相手であれば問題ないでしょう。
しかし、実際には中古でもなかなか入手は困難でしょう。
無理やりに探すだけの価値があるかとなると疑問です。
ついでにいうと、3dfx社はnVIDIA社に買収されてしまったので、Voodooシリーズもこれで終わりになるのでしょう。
GA−VDB16/PCI
さて、ここまでは確実に動作するビデオカードを紹介しましたが、PC−9821対応ビデオカードというより、PCIビデオカード自体がなかなか少なくなってしまっているのが実情です。
しかし、一部ではPCIビデオカードが販売されているので、それらをPC−9821に搭載できないかという問題があります。
実際には、搭載可能のものもありそうだと考えてよいのですが、もちろん保証対象外です。
この場合の問題点としては、次のようなことが考えられます。
@PC−9821用ドライバがない。
Aビデオカード側のVGA BIOSが生きたままだと正常に動作しない。
Bハードウェア的に内蔵グラフィックチップを切り離せない。
ドライバの問題だけなら、たとえばWindowsNTやWindows2000上でなら、リファレンスドライバで動作しそう。
ABは、これがもし本当なら、尋常な手段ではもはやどうにもならないでしょう。
VGABIOSを切り離せるディップスイッチがあればいいのですが。
Bが原因でビデオカードを増設できないケースは、IBM PC/ATマシンでもよくあるケースです。
このコーナーは、基本的には、ハードウェアの知識がなくても何とかなる問題を前提としたいので、この場合はあきらめるしかないと考えます。
GeForce2MX 実際には、Inno3DTornadoGeForce2MXがPC−9821Ra20/N12で動作したという報告があります。
実は、この環境は私も同じものがあるのでテストしてみたいと考えていますが、Windows2000上でないと動作しないのが問題です。
この場合、PCIセットアップユーティリティでCパスにC0000〜D7FFFまでの領域を予約しておく必要があります。
またドライバは、nVIDIAのリファレンスドライバを使います。
しかし、動作したとしてもあまり過大な期待はしない方がいいのがつらいところです。
IBM PC/ATマシンでもAGP版に比べてPCI版はパフォーマンスが悪いので、おそらくPC−9821でも・・・。
GeForce2MX
PC−9821に搭載可能なDOS/V用PCIビデオカード
ということで、さっそくTornade GeForce2MXをPC−9821に搭載してみることにしました。
今回使用したプラットフォームは、PC−9821V16/M7です。
これは既にWindows2000Proffesionalをインストール済みです。
PC−9821V16/M7の現時点の仕様は次のようになっています。
 
  変更前   変更後
CPU K6−V 400MHz  
メモリ SIMM 128MB  
ビデオ GA−S2K32/PCI Tornado GeForce2MX PCI
HDD 20GB   
IDE UIDE−66   
 
詳細は、実例集23にあるのでそちらに譲りますが、結論から言うと大成功でした。
このビデオカードは、かなりの高性能チップを搭載しているので、PC−9821とは思えないほどの性能を発揮します。
これ以外で物理的な改造なしでPC−9821に搭載可能なDOS/V用PCIビデオカードは次のものが判明しています。

PC−9821に搭載可能なDOS/V用PCIビデオカード
ビデオカード 搭載チップ 使用可能ドライバ
Diamond Viper V330 nVidia RIVA128 Viper V330用Win2000標準ドライバ 
Diamond Viper V550 nVidia RIVA TNT Viper V550用Win2000標準ドライバ
PROLINK MVGA−NVTNT2MP nVidia RIVA TNT2 M64 RIVA TNT2 M64用リファレンスドライバ
IO−DATA GMX4/PCI  GeForce2 MX400 nVidia GeForce2 MX用リファレンスドライバ
Diamond Fire GL1000 Pro 3Dlabs Permedia2 Diamond Fire GL1000 Pro Win2000標準ドライバ
 
これらのビデオカードを搭載するときに共通して言えることは、ROM領域C0000〜D7FFFをCバスで予約する作業をする必要があることです。
ただ、これらのビデオカードはすべてVGABIOSの書き換えやスイッチの切り換えなしで搭載が可能で、ドライバもごく自然な形でインストールできるので初心者向きといえます。
しかもいずれもDirect3Dが有効になるのでパフォーマンス的にも問題がないと思われます。
ただし、これらのビデオカードがすべてのPC−9821で動作するとは限りませんので注意が必要です。

実は、ものによっては動作はするがドライバの関係かDirect3Dが無効になってしまうケースもあり、そのようなビデオカードはここには掲載していません。
その他改造することで搭載可能なものも判明していますが、いろいろと問題もあるのでここでは掲載しません。