Q1.地球を天体としてみたら、どのような天体なのですか。
A1.太陽系の惑星は,地球のように主に岩石や金属からなる地球型惑星と,ガスを主成分とする巨大惑星(木星型惑星と天王星型惑星)の2種類に分けることができます。
太陽に近い水星,金星,地球,火星が地球型惑星です。地球型惑星と巨大惑星とは,組成はもちろんのこと,大きさや衛星の数,大気の組成などがまったくことなっています。
地球型惑星は、岩石からなる地表面を持ち、大きさ、質量とも小さいかわりに、密度が大きいのが特徴です。
巨大惑星は、その反対に固い地表面がなく、大きさ、質量とも大きいが、密度が小さいのが特徴です。
特に地球は、地球型惑星の中では、赤道半径、質量、密度とも最も大きいのです。
また地球型惑星は、衛星の数も少なく、持っていないものもあります。
逆に巨大惑星は、衛星を多数持っていて、中には、水星や冥王星より大きな衛星を持っているものもあります。
また、4つの巨大惑星はすべてリングを持っていて、これらも本来は衛星といえるものです。
ここでは地球とほかの天体とのちがいを,地球型惑星にかぎってみてみましょう。
まず地球には月という,地球の約4分の1の半径をもつ不つり合いなほど大きな衛星があります。
金星や水星には衛星がありません。火星には小さな衛星が二つあるだけです。
木星や土星には月よりも大きな衛星がありますが,惑星本体とくらべると,ほんの小さな天体にすぎません。
冥王星は、カロンというかなり大型の衛星を持っていて地球に似ていますが、これは実質的には連星系に相当します。
なぜ地球がこれほど大きな衛星をもっているのでしょうか。
これは地球の起源にも大きくかかわる問題です。そのためにも月を調べることが重要なのです。
地球
 地球の基本データ
軌道長半径
(km)
公転周期
(日)
自転周期
(日)
赤道半径
(km))
質量
(kg)
平均密度
(kg/u)
衛星数
 
1.496×10  365.26  0.997  6,378  5.974×1024  5,520  1 
Q2.プレート・テクトニクスとは、何ですか。
A2.プレート状の地殻が水平運動するプレート・テクトニクスも,地球ならではの重要な特徴です。これは地球内部のマントル対流にともなって,地殻と上部マントルの表層部が移動する現象です。
プレート・テクトニクスは,大陸移動や海洋底の拡大などの大規模な変動という形で,私たちの前にあらわれます。
金星や火星でもその証拠が発見されたという研究者もいるけれども,現時点では地球だけにみられる特徴といってよいでしょう。
地球という惑星の進化に,プレート・テクトニクスは大きな役割を果たしています。
現在の惑星理論は,プレート・テクトニクスによる物質の循環が,地球という星のようすを大きく支配していることを明らかにしました。
大気と海,そして地球内部との間の物質の循環は地球内部と表層との物質のかかわり合いに,欠かすことができないはたらきとなっています。
地球の内部は,地震波の伝わり方などによって精密に調べることができます。
とくに最近では,ちょうど医者が患者の体の中をみるように,「トモグラフィー」という手法を使って,地球内部の状況を3次元的に把握できるようになってきました。
それをみると,地球の深部から「プリューム」とよばれる太い柱のような物質のわき上がりがみられます。
このプリュームが物質の移動に深くかかわっている可能性もあります。
これからは,地球内部の活動は「プリューム・テクトニクス」によって理解されていくことになるかもしれません。
Q3.地球は他の地球型惑星に比べて強い磁場を持ちますが、どうしてでしょうか。
A3.地球にはほかの地球型惑星にくらべ,100倍から数千倍も強い磁場があります。
これは外核で液体の金属が対流して,ちょうど発電機の作用をしているためだと考えられます。

地球の磁場は数十億年にわたって維持されています。
地球内部に膨大なエネルギが維持されている証拠といえるでしょう。
磁場圏は地球の外側にのびており,太陽から吹きつけるプラズマの流れ,「太陽風」を防ぐ役割をしています。
もしこの磁気圏がなかったら,太陽風がまともに地球に吹きつけ,大気を持ちさってしまうかもしれません。
まさにそういうことが,火星や金星の大気でおきています。
Q4.地球と他の惑星の大きな違いは海を持っていることです。どうして海ができたのでしょうか。
A4.地球の最大の特徴は,太陽系の惑星や衛星の中で唯一,液体の水が表面に存在している点です。その理由は、地球が十分に大きく、また太陽よりの距離が遠すぎず近すぎず適当な距離にあったからです。
表面の70%は、海洋におおわれ水が豊富に存在します。生命も海から誕生したと考えられています。
太陽系の他の惑星や衛星には、液体の水はほとんど存在しません。
これだけの豊富な水が存在するからこそ生命が存在できるのです。
地球は大気を安定して保持できるだけの大きさがあり,また太陽から適度にはなれていました。このため地球ができたとき,大気中に放出された大量の水蒸気は凝結し,雨となって地表に降り注ぎました。これが海となったのです。
海は大気中の二酸化炭素をとかしこみ,大気中の二酸化炭素の量は0.03%と,適度な温室効果をもたらす量となっています。
金星は太陽に近すぎるために、太陽の光度が増してくると温度が上昇し,初めの頃はあったと思われる海も蒸発してしまいました。
そのため二酸化炭素が大気に残ったままとなり、二酸化炭素による温室効果が暴走し,金星は灼熱地獄と化してしまったと考えられています。
火星の半径は地球の半分程度しかないため重力が小さく,大気は宇宙空間に逃げだしやすい。
このため地表を暖かく保つ程度の温室効果が生じなかったのです。
火山活動などで噴出するガスが温室効果をもたらし,一時的に液体の水が存在できた可能性もあります。
しかし太陽から遠い火星では,二酸化炭素自体が固体となってしまい,温暖な気候を現在まで維持できなかったと思われます。
現在の火星では、大気も薄く、液体の水はおろか水蒸気ですら大気中にわずかしかふくまれていない状態です。
水星は大気を維持するにはあまりにも小さすぎ,30数億年前には,すでに大気を失ってしまいました。
月も水星とそっくりの環境です。月は、太陽からの距離が地球と同じなのに、まったく大気がなく、水も存在しません。
これは、月が大気をとどめておくには小さすぎたからだと考えてよいでしょう。
つまり、太陽からの距離が近すぎると、温度が上昇し水が蒸発してしまうか、大気を保てない。
逆に太陽からの距離が離れると温度が低いので、大気を保ちやすくなるが、今度は水が凍り付いてしまう。
実際、遠距離にある天王星や海王星の衛星は氷衛星です。
このような地球の特徴をみてみると,太陽からの距離の差と,惑星の大きさのちがいが,地球の環境をつくりだす根本的な原因であることがわかります。
さらに地球には、そのサイズからは不釣り合いなほどの強い磁場を持っています。
磁場が存在するということは、地球内部のコアが莫大なエネルギーを持っていることを示します。
この地球の磁場が宇宙からの有害な放射線をさえぎり、地球の生命を守っていることも見逃せません。
他の地球型惑星には、これだけの強い磁場は存在しません。
地球に生命が存在することは必然的だったのでしょうか。まだ結論は出ていませんが,ほかの惑星をみつめることで,そこに一歩でも近づけるかもしれません。
Q5.海があるとどうして生命が存在できるのでしょうか?
A5.まず海があったおかげで、地球上の温度が大幅に変動しなかったから、今まで生命が存在できたといえます。
仮に生命が存在しても、温度が変動すると絶滅してしまう可能性があります。
火星にしても金星にしても、大昔は海が存在し生命が誕生した可能性もあるのですが、海も失われて高温か低温の過酷な世界となり、生命が存在できる可能性は、限りなくゼロに近い状態です。
ところが地球の海は、38億年前から蒸発したり凍り付いてしまったりしたことはないことが、地質学的にも判明していて、温度の変化がほとんどなかったことを示します。つまり地球が氷河期になったときも海が完全に凍り付いてはいないし、温暖な時期でも海が蒸発してしまったことはなかったわけです。
実は、太陽は年を追うごとに光度を増しています。それなのに地球が生まれ海ができてから、今までほとんど温度の変化がないというのはどうしてでしょう。
二酸化炭素は、火山活動などで大気中に供給されますが、植物の光合成に必要な材料です。
また大気を温める温室効果を持っています。しかし、温度が上昇するとこの二酸化炭素は、水に溶けやすくなるため海に吸収され、大陸から海へ流れ込む物質と結合し、炭酸塩を作ります。すると温室効果が弱くなり、温度の上昇が止まるわけです。
この温度調節のメカニズムのため、今まで地球は温度がほとんど変動しないで生命が存在できたわけです。
また生命が誕生したのも海です。生命誕生のメカニズムについては、わかっていないことが多く、こうだと断言できることはほとんどないのですが、海から生命が生まれたことだけは、ほぼ間違いないとされています。